価格の掟 / ハーマン・サイモン [Books]
ワタクシ、仕事でプライシングについて調べようとして本を探したらハーマン・サイモンの「価格の掟」を見つけました。ハーマン・サイモンはプライシング専門のコンサルティング会社のCEOで、この領域の権威なんだそうです。中小企業診断士のテキストにも引用されておりました。そこで早速入手しようと在庫を探したのですが、比較的最近の本(2016年)の割に流通在庫が少ないようでAmazonでは少し高めの値段が付いていました(汗)、それでも紀伊国屋書店のオンラインの在庫をなんとか見つけて、横浜そごう7Fの紀伊國屋書店 横浜店に引き取りに行ってきました。紀伊国屋書店って意外と早いですな(笑)。
ワタクシはお恥ずかしながら(笑)、半導体製品のBtoBマーケティングを担当しているので、BtoCの領域に関する部分は余り参考になりませんが、「第6章 価格決定における検討ポイント」にいくつか参考になる部分がありました。
・コストベースの価格設定:コストにマークアップ加えるコストプラス方式では、シンプルではあるのの顧客の支払い意欲と一致しない限り、価格が高くなりすぎるか、低くなりすぎる可能性が高い。
・競合他社に追従する:競合相手のやりかたに基づいて自分たちの価格を設定する。コストプラス方式と同様にシンプルな方法だが、競合他社と比較してコスト構造や需要パターンが同じである可能性は極めて低いので、最適価格になることはない。
・市場ベースの価格設定:需要曲線と価格弾力性から利益が最大になる価格(最適価格)を求め、なるべくそこに近づける。
そこでどうやって需要曲線や価格弾力性を求めるかですが、次の方法が提案されています。
・専門家の判断を聞く:内部の専門家に聞く。「なぜか」(価格が変化したら需要がどうなるか)と、「次にどうなるか」(競合相手がその価格変更にどう反応するか)を質問する。
・顧客に直接的に聞く:価格を顧客に聞くシンプルな方法だが、これだけに頼らず他の方法を併用する。
・顧客に間接的に聞く:価格だけを取り出して聞くのではなく、価格と価値を同時に尋ねる。コンジョイント分析を用いる*。*コンジョイント分析:最適な商品コンセプトを決定するための代表的な多変量解析を用いた分析方法で、個別の要素を評価するのではなく、商品全体の評価(全体効用値)することで、個々の要素の購買に影響する度合い(部分効用値)を算出する手法。
・競合他社の価格が自社の売上に与える影響:自社の売上の変化率を競合他社の価格の変化率で割った交差価格弾性力を見る。
また「第7章 価格差異化という高度なアート」ではボリュームディスカウントと、新商品の価格戦略としてペネトレーション戦略とスキミング戦略が紹介されています。
・ボリュームディスカウント:フルボリューム式とインクリメンタル式がある。フルボリューム式は購入量全体に割引率が適用されるが、インクリメンタル式は、全体ではなく追加分にのみ割引率が適用される。売り手にとってインクリメンタル式のほうが利益が高く、買い手にとってはフルボリューム式のほうが安く購入できる。
・ペネトレーション戦略:新製品を比較的安い価格で売り出して、素早く市場に浸透させ、好意的な口コミ効果を広めようとする。ただし品質やステータスが強力な指標となる場合はうまくいかない。
・スキミング戦略:市場に出始めの時期に高価格でも購入するイノベータやアーリーアダプターを狙い、市場投入の早い段階で利益を獲得し固定費回収を狙う戦略。ただし値下げできるのは、最初に十分に高い価格をつけたときのみ。
まだ全部読み終えてはいませんが、この本には経験談とヒントくらいしか書いてないようなので、具体的な実行プランは自分で考えないといけませんな(汗)。
2021-02-13 15:39
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